吉田「穂高登山その2」
布団に入ってすぐ寝息をたて始めたのは片桐君。
寝息と言うよりも、過呼吸の様な荒い息づかい。
はあっ
はあっ
はあ!
そしてポツリと
「怖いよ………」(;^_^A
今井君と二人で吹き出しちゃいました。
涸沢までの疲れと、明日への不安の中での遺体収容現場の目撃等、
いろんな事が一度に混ざり合って、きっと大変な夢でも見てたのでしょう( ̄∇ ̄+)
クスクス笑ってた僕らも、いつの間にか眠りに落ちてました。
翌朝は4時起床で準備。
予めお弁当にして貰ってあった朝食を食べる。
不思議と腹は減るもので(笑)
早朝なのに、三人共ペロリと弁当を平らげました。
腹が減っては戦はできない。
まあ、前日の夕食が17時だから、10時間以上経ってるから、腹が減るのも当然か。
コーヒー飲んでいざ出発。
とりあえずザイテングラードから穂高岳山荘までを目指します。
涸沢の夜明け
雪渓を横切ります。
前方に見えるのが、お爺さんとお孫さんの悲しい事故現場の、
ザイテングラード。
頂上への道は完全に分厚いガスの中に包まれています。
ザイテングラードの取り付き付近からの朝日
今回のベストショットかもしれません。
この道を登っていきます。
その前にパシャ
さあ!気を引き締めて!
結構急な登り
手を使いながら、少しずつ登っていく。
小一時間登った辺りで、かなりへばってくる今井、片桐両氏。
今井君は膝が。
今回予行演習出来なかった片桐君は体力が(笑)
ホレホレ!頑張れ|♪
ぶへ?
もうちょっとだ!ガンバ!(実は半分も来てない)( ̄∇ ̄+)
ちょっと休憩。
ここで数日前に落石でお孫さんとお爺さんが亡くなったとは思えない位、
登山者は沢山いました。
そして何も変わらない山の一部として、
ザイテングラードはこれからもここにあり続けるのでしょうね。
あと20分だよ!
イワギキョウ
小屋が見えてきた!
やっと着いた?
登りだしてから3時間ちょっとで穂高岳山荘に到着。
ここでちょっと休憩して、荷物をデポしたら、
デイパックに最低限の水とカメラだけ入れて、北穂高岳へ。
涸沢岳まで3?40分くらいの登り。
涸沢岳から北穂高岳の間が、ちょっと危険な箇所が少しある。
膝の具合が良くならなかった今井君は、ここでピットイン。
待機して明日にかけます。
片桐君と2人で出発!
涸沢岳
ここからの下りがいきなりビビる(・ω・)
正直ヤバイかな?って思った(笑)
片桐君はもう小屋に帰る気満々。
「僕無理そうなら小屋に帰りますから」
「一応先にオレが下りてみるから、ちょっと待ってて。」
降りてみると、上から見るよりはヤバくはない。
足の置き場もしっかりしてるし、ホールドもちゃんとある。
テラスまで降りて、「大丈夫だから降りてきな!」と言うと、
恐る恐る降りてくる片桐君。
何だかんだいって、やる時はやる男なのだ。
2?3ピッチ鎖場を降りたところで、「もう引き返すのも大変なんで、行こう!」
と言う感じで、北穂へ向う事が決定。(半ば強引 笑 )
不安そうではあるが、片桐君は一応ついてくる。
まあ、1人帰るのはもっと怖いからね?(笑)
しかし冗談抜きにここからの道のりは怖い。
鎖場や梯子が数カ所出てくる。
鎖を掴むよりも、岩を掴む方が数倍安定しているし、登りやすいし降りやすい。
それでも目の前に鎖があれば、掴みたくなるのが常。
でもなるべく使わない様に注意して、急な下りを降ります。
とにかくかなり長い急な下り(崖)が続きます。
でも大キレットはこれより凄いって言うんだから。。。。
楽しみじゃないか(笑)
最低コルを過ぎると、小さい登りと下りの連続。
下から見てると、ギザギザに見えた辺り。
昨日のヘリが収容作業していたのは、このどこかなんだろうな。。。
文字通りギザギザに登ったり降りたり。
結構怖い(ノДT)
こういうところではコンパクトカメラが役に立つ。
今回携帯したのはRICOHのGRーD3
コンパクトデジカメとは思えない位、明るいレンズが素敵なカメラです。
これ買ってからは、5Dの出番が思いっきり減りました。
もちろん5Dには敵いませんが、山では荷物は極力減らしたい。
デカイ一眼なんて持って行けません。
小さい割りには高性能の、なかなか可愛いやつです。
途中何人かとすれ違いました。
皆さんは北穂から穂高岳山荘へ向う人達。
僕等が北穂を往復してくる事告げると、「大変だねぇ」って感じの反応。
どんだけ大変かは判らなかったんで、そうなのかなあ。。。
って思いながら、先を進むしかない。
片桐君は、なんだかそう言う反応見る度に不安そう(ノДT)
「吉田さん、おれ北穂の小屋に泊まります」とか
「涸沢に降りてから、ザイテン登り直しましょうよ!」とか
弱気な発言を繰り返す。
まあ、まあ、
とりあえずは北穂小屋まで頑張ろうと、なだめ、すかし、先を急ぐ。
事故の遺体の方は、涸沢槍の付近で落ちたという話だけど、
登っていると、涸沢槍がどこなのかサッパリわからない。
まあ、こんな所が続く訳だから、弱気になるのも判る。
僕はフリークライミングをしていた事もあるので、岩には少し慣れているけど、
片桐君はここまでの崖は、まるきりはじめてに近いだろうし、八ヶ岳の阿弥陀岳と比べても、
ちょっとスケールが違う。
それでも頑張って北穂の分岐まで来た時は、ああ安全な所まで無事に来たんだぁ!
と安堵感に包まれました。
ここから北穂まではもう危険な所は無い。
北穂の頂上
ここから少し下れば北穂小屋。
ぐったりの片桐君を横目にビール!
味噌ラーメン!
もうめちゃくちゃ美味かった!
その3に続きます。