吉田 「glam鮎川支店」
鮎川での初日はハサミを握るどころか、寿司を握って終わったのですが、
2日目は朝5時半くらいに目が醒めてしまい散歩しながらいろいろ考えてました。
ここでハサミもってカットのボランティアをする事の意味。
初日のお寿司への反応の凄さを考えると、
髪の毛の事なんかは大して必要とされていない空気でした。
意気込んで来たはいいけど。。。
そんな思いで朝食をとっていると、弟が飛んで来た。
「兄貴!仕事!!」
出てみると、「おばちゃんが髪切って欲しいって」
!!!
準備して行ってみると、ショートのおばちゃん(親しみを込めてそう呼ばせて頂きます)が、待っていました。
「娘に切ってもらっててね、おかしいでしょ?直して欲しいの。」
わかりましたっ!
鮎川での初仕事。
持って行った水のいらないシャンプーは要領が掴めず苦戦。
お湯と水はあったので、濡れたタオルで拭き取りシャンプー完了。
「気持良いね」
カットも終わり鏡が無いけど、周りにいるおばちゃん達が
「あら!サッパリしていいじゃない!」
なんて言ってくれて、「あたしもやってもらおうかしら?」
という感じでそのまま立て続けに2名の髪をカットさせて頂く。
一休みして戻ってくると、じっち(おじいちゃん)が「ちょっと刈ってくれ」
と声かけてくれまして、じっちの頭は禿げてて毛がないんですけど、
周りの毛がある部分だけ刈り上げました。
なんかそれでも喜んでくれたみたいでよかった。
そこへ初日に一緒にお寿司を作ってくれた、ヤスのお母さんが来て、
カット。
「やっぱりお寿司握ってる時とは違うね」と笑ってました。
「そりゃこっちが本職ですから(笑)」
その後もいっしょに手伝ってくれた方も来てくれて、鮎川支店盛況です(笑)
なにやら僕のあだ名は「カリスマ」になってるらしく、
「横浜からカリスマが来てるみたいだから、アンタもやってもらったら良いよ」
って感じで話が広がってたみたいです。
自分のお孫さんも連れてきてくれました。
その後はお風呂で髪洗った後、炊き出し班の女性が来てくれました。
その方が「何かこういうのテレビで見たんですよねぇ(笑)
まさか自分がこんな風にボランティアの人にカットしてもらうなんて、思っても見なかった」
このとき少し自分が恥ずかしくなりました。
昨夜、みんなでお寿司食べながら談笑しながら、何人かの人に
「良かったら髪の毛切らして下さい!」って言ってた中の一人がこの方でした。
その時の反応は微妙だったんで、きっと切りには来ないかなて思ってました。
自分が相手の立場だったらとか、綺麗ごとに聞こえそうですが、
このとき考えてしまいました。
現実を受け入れつつも、人から色々と助けてもらう事への違和感を
捨てきれないでいる人達へ、僕は多分かなり上からの目線でいたんだと思います。
ボランティアでカットするという事自体が、美容師のエゴ以外の何物でもないと思う。
何故ならここの人達は鏡を見る様な生活をしていません。
切った髪も仕事の時は縛ってしまいます。
だからおいしいお寿司を食べた様な感動なんて、髪の毛切った事には感じる事は無いし、
それを感じる余裕のある生活ではない。
それをこの一言に知らされた気がしました。
もの凄く恥ずかしく、申し訳ない気持ちになりました。
ましてやこの避難所には美容師の方が一人いたそうです。
そういう事も考えず、こういう事の意味さえ考えなかった。
切ってる途中「何か全てが夢みたいです。夢ならいいんですけどね。。。」
って笑顔なんですが、言葉は重かった。。
その後はたまたま居合わせた主婦の方のカットをして、
その息子さんが入学式を控えているそうで、その子のカット。
また中学生の娘さんも悩みに悩んだ末に、切りにきてくれました。
計11名の頭を触らせて頂き、glam鮎川支店の営業が夕方に終わりました。
さかなやKが
「とっくりさんお兄さんの鮎川支店儲かってますよ」って笑ってたみたいです。
いろいろ考える所はありましたが、勉強になりました。
鮎川にまた行きたいし、この人達の復興した時の笑顔も見たい。
その時は一緒に喜びたい。
そう思いました。
この1回でこの活動を終わらせては行けないと思うので、今後も継続して行きたいと思います。
それにあたって考えないといけないのは、地元美容室の復興。
そう言う邪魔をしない様に、今後はいろいろ考えて動きたい。
エゴから始まった活動ですが、継続する事で何か形に出来たらって思っています。